将棋界の最高位を争う
第20期竜王戦(読売新聞社主催)、渡辺明竜王(23)と挑戦者・佐藤康光二冠(38)の七番勝負第2局は31日から三重県伊勢市の「神宮会館」で行われていたが、1日午後7時18分、佐藤が144手で勝ち、対戦成績を1勝1敗とした。
伊勢神宮への「奉納対局」となった本局は、後手佐藤の穴熊に渡辺が銀冠で対抗。互いに馬を作って小競り合いを続けた後、佐藤が△8四歩から玉頭戦を決行した。渡辺はすかさず▲9四桂から反発、端を激しく攻め立てて優位に立ったが、終盤、△7三飛に対する▲6九金の受けが疑問手。△8六桂から△8九銀の好手順が出て佐藤が逆転勝ちを収めた。
第3局は13、14日、札幌市の「札幌後楽園ホテル」で行われる。
佐藤二冠の話「一手一手が難しかった。端攻めへの応接が悪く苦しくした。次も頑張りたい」
渡辺竜王の話「終盤で急に形勢がよくなって大雑把になった。▲6九金は勘違いの手でした」
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渡辺竜王
「せっかく難しい、見応えのある将棋だったのに最後のポカが残念、心残りです」
佐藤二冠
「途中からは苦しく、119手目▲2二竜で負けを覚悟しました。最後はツキがありました」
谷川九段
「見所の多い対局でした。双方一分将棋、手数も140を超え、不動駒も3枚、奉納将棋にふさわしい大熱戦だったと思います」
杉本七段
「大熱戦だと思います。途中挑戦者有利の局面もありましたが、竜王の反撃が強烈で勝ちになっていました。125手目の▲5二馬が実戦的には危険で、▲7七銀打なら安全勝ちだったでしょう」
竹内三段
「前例がない将棋でしたので1日目から注目してみていました。最初は佐藤先生が勝っているのかと思いましたが、途中で渡辺先生が逆転したようですね。最後は驚きました」
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将棋のタイトル戦では初めてとなる伊勢神宮への「奉納対局」として、三重県伊勢市・神宮会館で行われた第20期竜王戦(読売新聞社主催)七番勝負
第2局の「棋譜」が、一夜明けた2日朝、伊勢神宮に奉納された。
同神宮への棋譜の奉納は初めてという。
対局場で記録された渡辺明竜王と挑戦者・佐藤康光二冠の棋譜の原本。「奉納将棋 竜王戦」と題された和装の冊子にとじ込まれ、渡辺竜王、佐藤二冠と、立会人の谷川浩司九段、杉本昌隆七段が墨で署名した。
渡辺竜王、佐藤二冠らが、そろって内宮・神楽殿に進み、谷川九段が日本将棋連盟を代表して神職に手渡した。奉納された棋譜は神前に供えられた後、神宮内で保存される。
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(所感)
序盤は佐藤二冠がリードしたが、中盤で渡辺竜王が逆転。
しかし、終盤で佐藤二冠が再逆転し、佐藤二冠の勝ち。
渡辺竜王に見落としがあった様子。
今年も最終局までもつれそうな気配が漂う。
渡辺竜王の防衛を期待したい。